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石森 富太郎; 中村 永子*; 小船 敏子
分析化学, 12(3), p.261 - 266, 1963/00
ニッケルをコバルトおよび鉄から分離精製するひとつの方法を研究した。リン酸トリブチル-塩酸系あるいはアルキルアミン-塩酸系溶媒抽出におけるこれらの元素の行動はすでにしらべられている。この結果を基礎としてカウンターカレント抽出法を用いて分離した。このとき有機相を固定相として6段あるいは8段設定する。移動相の水相は多段こう配濃度法を適用して塩酸濃度を漸次変化させて16ないし20段流す。その結果、ニッケルは最初のフラクションに濃縮され、コバルト、鉄の順に得られる。鉄を逆抽出する場合には希硝酸を用いることもある。分離例としては、ニッケル:コバルトが100:1、塩化ニッケルについて飽和溶液から出発して、コバルトの除染係数210が得られている。出発物質の水溶液がニッケルやコバルトで飽和しているときは、コバルトの量が多くなってくると、ニッケルとコバルトの分離ができなくなってくる。したがって、この方法はニッケルからコバルト、鉄の不純物を除いて精製するのにきわめて有効な手段であると考えられる。